生死を超える　絶対幸福の鍵を解く!!　麻原彰晃著　オウム出版

「はじめに」――幸福を求めて

「生きていくって、なんて辛いんだろう。」
ふと立ち止まっては、こんなことを思う。仕事がうまくいかない、生活が苦しい、現実に直面して夢敗れる、失恋、孤独、・・・・更には逃れられない老い、病、そして死。どうしてこんなに苦しみが多いのだろう。まるで苦しむために生まれて来たみたいなものじゃないか。たいていの人間は、こんなことを考えるに違いない。でも、考えたからといって、それから離れることができるのだろうか。恐らくできないだろう。苦を背負ったまま、自分の心をごまかしながら生きていくのが普通であろう。

　ところが私はそういう妥協ができなかったんだ。私だって、私なりの苦を持っていた。でも、自分をごまかすなんて、不器用な私にはできないことだった。普通だったら、死ぬしかないっていう状態だ。そこで何をしたかというと、「真の幸福」を探して、がむしゃらに精神世界に飛び込んでいったんだ。もともと物好きだったし、熱中すると我を忘れる性格だったからね。

それはもう、大変なことだった。何しろ、誰も知らないことをやろうというのだから。文字ど おり、暗中模索の数年間だった。その途中では、人生のどん底に落ちて、辛酸をなめた時期もあ 苦を無くそうと始めたことが、一層ひどい苦しみをもたらしたのだから、本末転倒だね。 しかし、私は「真の幸福」捜しを放り出さなかった。何故かというと、この頃ようやく手ごたえのようなものを感じていたからである。私はヨーガに巡り会った。そして、解脱によって生死を超越し、真の幸福をつかむことができると確信したんだ。

　それからは黙々と、ヨーガ経典を頼りに修行に励んだものだ。ヨーガというものは面白いもの で、進歩を測るのに「超能力」を目安にする。つまり、どの超能力が身につけばどの段階か、と いうことがはっきりしているのである。もちろん、私も少しずつ超能力を獲得していき、いつし か超能力者と呼ばれるようになった。しかし、これはあくまでも付録で、最終目的は解脱だ。

　やがて私は経典に書かれている、ヨーガの最終段階に到達した。ところが、それは私が求めて いた解脱とは違っていた。まだまだ途中の段階だったのである。それを知ったときは、再び暗闇 の中に放り出されたような気分だった。さて、どうしたものか。より高い段階へ行くには、どういう修…

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